伏見稲荷と東山トレイル
11月21日(日) 天気晴 単独行
どうやら11月中で最高のお天気な休日になりそうなので、急遽フィールドワークを敢行する。
本日の目標は
- 伏見稲荷が『紅葉の名所』かどうかを確かめる
- 南禅寺奥の院から若王子神社に出られる地形を確かめる
- 往復いずれかの交通費をかけない(笑)
…念のためお断りしておくと、伏見稲荷と南禅寺は直線でも5km以上離れているので、歩きでハシゴするのは、たぶん一般にはお薦めできないので気をつけていただきたい。いやこの時期なら案外バスとかより速かったりする…ことはないか(笑)。
第1区: 高瀬橋~稲荷山権太夫
「往復いずれか」とは書いたが、実際のところ、あわよくば南禅寺あたりで夕景を拝めるような時間調整も兼ねて、伏見稲荷まで歩くことは決めていた。いつもは最寄りの駅へのアプローチということで歩程の勘定には入れていないが、今回は高瀬橋をスタートと定めて、七瀬川に沿って歩く。
さすがに通しで歩いたことは今までなかったが、やけに小綺麗に整備されている。案外ボーッと過ごせる穴場かもしれない。特に竹田街道とR24の間の区間は、どっちの道も直接横断するのが難しい秘境?とみられる(今回も通れなかった)、ただ近鉄がやかましいかもしれない。
七瀬川区間終了後もアミダくじのように北東に向かって進み、名神高速を潜ったあたりで大和街道に出る。半分予想したとおり、伏見稲荷参詣待ちのクルマが、JR奈良線の踏切を越えたところまで繋がっていた。一方通行でこれをやられると、単に通過したいだけのクルマはたまらない。外拝殿やら社務所やら改築中なのに、紅葉の名所とアナウンスされているわけでもないのに何ですかこの人出わ(汗)。
むろん歩きは何の問題もなく入場。稲荷山を通り抜けるだけなら真っ直ぐ登ってもよいが、紅葉の名所かどうか見届けるために、今回は東山トレイルのコースなりに奥社に回る。
さて、今回どうして伏見稲荷が紅葉の名所という話が出てきたかというと、某ネコのマンガに伏見稲荷をモデルにした場所があって、そこが紅葉の名所として描かれていたから。実際に千本鳥居で橙色の(紅色はたぶんいまいち)紅葉が散っていたりしたら素敵ですよね(あっしまった)ということである。
というわけで本殿から奥の院まで歩いたが、外拝殿までの参道沿いに多少植わっていた以外では、特別に植えたような気配はない。そしてここからは原生林なので、少なくとも人工的な紅葉の林はますます期待はできないであろう。となると、こういう書き方は無粋だが、作者の人はどのようにして、伏見稲荷と紅葉をひっつけるに至ったのか気になる。
まあ、その手の名所の一面紅葉というのも確かに壮観だが、そういう人工的な庭とは別の意味で、先々週の台高山脈のように雑多な紅葉がひしめいていたり、今回の稲荷山のように、山林の中に偶に紅葉があるという絵も悪くない。
第2区: 稲荷山周回
トレイル2番、権太夫の四辻から一旦トレイルを外れて、稲荷山頂周回コースを時計回りに歩く。とにかく本日は時間を潰さないといけない。
ちょうど眼力さんに紅葉が1本あったので撮らせていただく。さすがに、確実に30分はかかる周回コースに入り込む観光客はそれほどいない。なんとなく神々しい雰囲気を保っている周回コース北側の原生林の中を歩いていると、いつもは道なき道を進むのも厭わない私でも、何となく樹林に入り込む気が起こらないものである。
稲荷山は何回も登っているが、今回初めて気がついた。大台ヶ原は、木道とロープを使ってコースから外れないようにしているが、稲荷山は、原生林を保護するために、千本鳥居を使って同じことを狙っているのではないのだろうか? 人間、コースを外れるなとあららさまに禁じられたら外れたくなるものだが、柵であるということを気づかせずに巧妙に観光名所を装っているとしたら、そしてそれを何百年も昔から狙ってやっていたとしたら、これは文化庁もUNESCOもびっくりな快挙と言えるかもしれない。
そしてそのことに気づかない人間は、奥の院までの千本鳥居を体験したあとは、そこから多少鳥居がまばらになったり朽ちていたりしても、なぜかそこに見えない壁を感じるものである。ただし、こんな感じに道標があって、明らかに道がついている場合は除く。
…って、今回なぜか『末廣滝一丁』と書いてある、その一ノ峰手前の分岐が気になった。独り旅だし、時間も余裕あるので、何か発見できるかもと期待して、サブコースのサブコースと洒落込むことにする。
と思ったら、突然道が3つに分かれる。Coloradoの地図では道が2本しかないことになっていたので、1回の往復で全容がわかると思っていたのに、のっけから計算違いだ。
朽ちた鳥居跡のある真ん中が一番古いと思われるが、ダンジョンでは左手沿いに進む(右手だったかも)の鉄則に従って、とりあえず一番左を選択。一丁進んでも滝は発見できなかった代わりに、またしても地図に載ってない十字路を発見。ただし親切にも行き先が書いてある。今回は地図に載っている?深草方面の下山路を選択。ちなみに残る2本は、それぞれ滑石越(醍醐道)と大石神社に出るらしい。
進んですぐに、眼下にお社と鉄骨の舞台が出現。舞台に下りてみたら、上下20mはあるような岩が祀られていた。その名も『大岩神社』。大岩神社といえば、名神高速の向かい側の大岩山にあると思っていたら、こっち側にもあったというわけだ。というかインパクトはこちらが上かも。
先客が般若心経をあげていたので、今回は撮影は遠慮してさらに下りると今度は『小岩神社』を発見。ついさっき大岩を見たところということもあって、大きさのギャップに驚く…とりあえず廻る順番は逆だったかもしれない。
末廣社と思われる建物の下まで下りたところで三叉路になった。どうやらこれが地図に載ってない直登ルートらしい。地図どおりだと、もっと下りて登り返しのルートを覚悟していたのでちょっともうけた。いずれにしても、このあたりは今後何回か開拓に来ることになるだろう。しかし本殿付近の大混雑がウソのように静まりかえった場所である。
さんざん引っ張って何だが、あとで確認したら、今回通ったいずれの道も、山中何箇所かに掲示されている地図のいずれかに載っていたりする(笑)。
さて周回コースに戻って、最高峰一ノ峰を通過。ここでも紅葉が1本だけあったので、お狐さまと一緒に撮らせていただく。
ここらへんから人が増えてくる。どうやら一ノ峰まで往復という人は多いらしい。稲荷山の尾根筋ということもあり、周回路北側と違って明るい雰囲気である。
三ノ峰には紅葉は見当たらなかったが、キツネ色のお猫さまに遭遇。これはサブサブコースで時間潰したおかげかもしれん。ただ水を飲んでいた所へ出会い頭だったのでびびらせてしまったようだ。
第3区: 権太夫~将軍塚
お昼を回ってようやくトレイルに復帰。事あるごとに鳥居形電飾がつく展望所から確かめると、やっぱり目立つ紅葉は外拝殿の外側、駐車場付近にしかないようだ。
稲荷山を下りて、クルマやらバスやら観光客やらでごった返す泉涌寺、今熊野観音を通り抜ける。鳥戸野陵道に入ると、クルマが入れないだけあって、沿道の石段の落ち葉もそのままの、のんびりした雰囲気に一変する。滑石越はさすがに忙しいが、阿弥陀ヶ峰に入ると、もはや梅小路のSLが時折鳴らす汽笛の音しか聞こえない。
清水山も、麓の大変な(と思う)状況とは裏腹に、時折ハイカーとすれ違うだけの静かな雰囲気だが、この区間はさすがにメジャーな観光地が近いだけあって、お子さん連れの比率が多かったような気がする。
東山山頂公園に到着すると、駐車場から溢れるぐらいのクルマが来ているのにびっくり。混雑の正体は、将軍塚が紅葉の名所になっていること。庭園は有料だが、大日堂までは無料で、この区域だけでも先を急ぐハイカーにとっては充分かもしれない。
第4区: 将軍塚~若王子神社
三条通に下りてからも、引き続きトレイルに従って日向大神宮に入る。日向さんの紅葉も、本数は少ないながら見頃になっている。せっかく本殿まで上がったので、天の岩戸ルートで七福思案処まで進んで、本日のトレイルトレースはここで終了。ここから、問題の南禅寺奥の院に下りる。
前回ここを訪れた時は、トレイルは外れないつもりで、地図も武装も無しの完全に手ぶらでのハイキングだったため、ちょっと歩いたところで コワくなって 大文字山登山道のどこかに合流すると判断して引き返したが、帰って地図確認したら、そのまま北側に曲がって若王子神社裏の墓地まで行けそうに見えたので悔しがったものである。今回は、開拓に成功するのはほぼ確実だったが、あわよくば夕景スポットの穴場発見を期待する。
しかし、気合いを入れて進んだ割に、超軽装の観光客3グループ7人ほどとすれ違ってしまってショック(汗)。というか前回こんな道できてたっけ!? 確かに反対側から『新島襄先生墓』の案内を見たらお墓まではやってきそうだし、そこから道が続いているようなら進んでしまいそうな雰囲気ではある。
延長戦: 若王子神社~蹴上
夕景スポットも結局見当たらなかったので、せっかくだから明るいうちに永観堂南禅寺も撮影するべく、さっさと下りて観光客の群れに飛び込む。とにかく普通に歩けないほどの混雑には恐れ入った。
蹴上から地下鉄で竹田まで帰る。本日の交通費はこの250円のみ。しかしまさか烏丸線で積み残されるとは思わんかった。楽してバスに乗り換えようと思って最後尾の車両に並んだのがまずかった。秋の京都おそるべし。